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個人再生と自己破産にはどんな違いがあるか

  • 文責:弁護士 岡安倫矢
  • 最終更新日:2024年10月16日

1 個人再生と自己破産

個人再生も自己破産も、裁判所に申立てを行い、裁判所から決定を受ける手続きであるという大枠としては共通しています。

また、どちらも借金問題解決のための方法の1つです。

では、この2つの手続きにはどのような違いがあるでしょうか。

いくつかご紹介いたします。

2 手続きによる変化の違い

自己破産の申立てを行い、免責許可決定を受けると、基本的にすべての借金についての支払義務が免除されることになります。

「借金がなくなる」というのは厳密には正確ではなく、支払義務が免除されるだけで債務としては残るわけですが、義務がないものを支払うことは通常ありませんので、実質的な意味合いとしては借金がなくなると考えても差支えはないかなと思います。

他方、個人再生の場合には、法律の規定に従い減額はされるものの、一部の支払いは続けなければなりません。

とはいえ、例えば500万円の総債務額が100万円まで減る場合があるように、大幅な減額は期待できることが多いので、生活状況は申立て以前と比べてかなり余裕が持てるようにはなると思います。

3 財産の保持についての違い

自己破産の場合には、一定限度(おおむね総額99万円までとなることが多いです。)を除き、手元に財産を残すことはできません。

例えば親から相続した不動産がある、比較的高額と評価される車を持っている、というような場合には、自己破産手続上は手放さざるを得ないことが多いです。

個人再生手続きでは、財産処分は必須ではありません。

さらに、条件が整えば、住宅ローン返済中のマイホームも手元に残すことができる場合もあります。

注意点としては、「清算価値保障原則」との関係で、返済総額が変動する可能性があるということです。

例えば、上記2では500万円の債務が100万円まで減る場合があると説明いたしましたが、手元に300万円の車を保有している場合、返済総額は300万円を下回ることはありません。

自己破産であればその車は現金化されて返済に充てられるので、そこと均衡をとるため、手持ち財産以上は返済しなければならない、というルールとなっています。

4 条件についての違い

自己破産は、すべての債務の支払義務が免除されるという強力な効果がある反面、個人再生と比較して免責決定の条件が厳しくなっています。

典型例は投資の失敗やギャンブルで、借入れ原因の大半がこれらのようなものである場合、原則として破産の許可はできないものとされています。

ギャンブルで借金をした場合の自己破産については、こちらをご覧ください。

こうした免責ができないものを、免責不許可事由と言います。

これに対し、個人再生にも「不認可事由」はあるものの、自己破産と比較すると厳しいものとはなっていません。

前提として今後今きちんと返済を続けられるというものはありますが、個人再生においては、主にギャンブル等で作ってしまった借金の場合であっても、認可決定を受けられる可能性があります。

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