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「過払い金」に関するお役立ち情報

過払い金返還請求で訴訟をする場合のリスク

  • 文責:所長 弁護士 岡安倫矢
  • 最終更新日:2024年5月1日

1 訴訟のリスクは、敗訴すること

過払い金返還請求で訴訟をする場合のリスクは、何と言っても裁判に負けることです。

過払い金返還請求は、過去に裁判例がたくさんあり、裁判の結果で過払い金が0円になってしまうことがありえます。

例)

・当初の予定

現在の借金:100万円

過払い金:500万円

手残り:400万円

・裁判の結果

現在の借金:100万円

過払い金:0円

手残り:-100万円

このケースの場合、過払い金請求をしなければ、100万円を分割払いしていればよく、信用情報に傷がつくこともありませんでした。

しかし、過払い金請求をして負けた結果、100万円を一括で支払う必要が出てきてしまいます。そして、弁護士を利用して分割払いにできたものの、信用情報に傷がつき、今後ローンが組めなくなったりクレジットカードが作れなくなったりしてしまいます。

2 過払い金請求で敗訴するパターン

⑴ 最終返済日が10年以上前の場合

過払い金の時効は、最長でも最後に支払ったときから10年です。

そのため、10年以上前に完済してしまった借金については、過去に過払い金が発生していたとしても、時効で消滅してしまっているということになります。

10年ギリギリの場合は、急いで裁判を起こせば間に合うケースもあるので、急ぎ弁護士に相談をしましょう。

⑵ 返済が毎月できておらず、間隔が開いている場合

過払い金返還請求は、「借金を借りて、借金を返して、枠が空いたからまた借りて・・・」と借金の利用が続いている間は時効になりません。

これを「一連一体の取引」といい、「一連一体の取引」が続いている間は、30年前に借りた借金についての過払い金返還請求もできます。

しかし、借金を一度返してから、数年間返済が滞ってしまうと、「一連一体の取引」が途切れてしまい(=「取引の分断」)、それより前の過払い金については10年経つと時効により消えてしまいます。

例)

2000年に50万円を借り、それから2010年までは、毎月借りて返してを続けていた。

2010年から2013年まで、借金の返済が滞った。

2014年から再び借金をして、また、そこから借りて返してを現在まで続けている。

2024年に、過払い金返還請求を行った。

→この場合、2010年~2013年まで「取引の分断」があるため、2010年より前の過払い金は、10年経つと時効により消滅してしまいます。

つまり、過払い金返還請求を行った2024年の時点では既に過払い金が消滅してしまっています。

そして、2014年以降の借金については、2024年まで「一連一体の取引」が続いているため、過払い金があれば請求は可能ですが、2014年は利息制限法の改正が行われているため、過払い金が発生している可能性はかなり低いです。

⑶ 貸付停止(借入可能額が0円)になっている場合

「一連一体の取引」は、借入可能額がある状況で貸し借りを繰り返している場合に認められます。

つまり、借入可能額が0円にされ、もう借金ができなくなってしまうと、それ以降は「一連一体の取引」でなくなってしまい、「取引の分断」が起こります。

つまり、借入可能額が0円から10年経つと、それより前の過払い金は時効により消滅してしまいます。

⑷ 過去に、返済方法について借入先と話し合いをしている場合

過去に、借金の返済が厳しくなり、貸金業者と話し合いをして金額調整をしてもらう場合があります。

この場合、貸金業者と取り交わしてサインをした書類には、過払い金を放棄する文言などが書いてあることも多く、その場合、過払い金請求はできなくなる可能性があります。

⑸ 契約内容が変わっている場合

借入期間が長い場合、契約内容が変更されている場合があります。

その場合は、契約内容の変更の前後で別々の契約という扱いになり、「一連一体の取引」ではないと判断されることがあります。

そうすると、契約内容の変更をしてから10年で過去の過払い金は消滅してしまいます。

契約内容の変更がされているかは、様々な要素から判断しますが、利率が変更されている、カードが再発行されている、収入審査などが改めて行われている、契約番号・カード番号などが変更になっているなどが影響します。

3 よく弁護士に相談

以上に紹介したように、過払い金返還請求で敗訴するパターンは多種多様です。

そして、敗訴するかどうかは、かなり複雑な法律問題を含んでおり、見通しは立てられるものの、弁護士でも裁判をやってみないと確実な結果はわからないものです。

裁判をやって過払い金が減る可能性があるかないか、減るとして可能性はどのくらいか、減る金額はいくらかなどを総合的にみて裁判をやるかどうか検討しなくてはいけません。

よく弁護士と相談し、想定されるリスクとリターンを踏まえて裁判をするか考えましょう。

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