「自己破産」に関するお役立ち情報
自己破産と財産隠し
1 財産隠しとは
自己破産をすると保有している財産を手放す必要があります。
しかし、財産を手放したくないために、保有している財産を隠して自己破産できないかと考える方がいます。
これが財産隠しと呼ばれるものです。
例えば預金口座の存在を故意に申告しない、手続き前に現金を親族や知人に預ける、解約返戻金のある保険を故意に申告しない、自動車や自宅の名義を家族名義などに変更するなどの行為が、財産隠しに該当します。
2 財産隠しが発覚した場合
⑴ 免責を受けられない可能性が高い
財産隠しは免責不許可事由に該当します。
したがって、財産隠しが発覚すると破産手続を行っても免責されない、つまり借金の返済義務がなくならない可能性があります。
財産隠しは債権者を害するおそれが大きい行為です。
ギャンブルや投資を目的とした借り入れも免責不許可事由に該当しますが、これらが借入れ当時の事情であるのに対して、財産隠しは破産手続を行う段階になって意図的に行っているものであるため、悪質性の程度が大きいです。
そのため、裁量免責を受けることも難しくなってしまう可能性が高いです。
⑵ 詐欺破産罪にあたる可能性がある
さらに、財産隠しは詐欺破産罪が成立する可能性もあります。
詐欺破産罪にあたると、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金、あるいは10年以下の懲役と1000万円以下の罰金の両方が科せられることになります。
3 自由財産として一定の財産は残せる
上述のとおり、財産隠しは絶対に行ってはなりません。
自己破産をする場合でも、財産がすべて無くなってしまうというわけではなく、99万円以内の現金や家具・家財道具などは残すことができます。
また、破産手続開始決定後に得た収入は、自己破産による処分の対象外です。
今後の生活のために少しでも財産を残したいということであれば、きちんと弁護士に相談して、残せる財産の範囲を確認することが大事です。
間違っても弁護士に秘密で財産を隠すようなことはしてはいけません。
誤って財産の一部を申告し忘れてしまうようなケースについても、注意が必要です。
なお、自由財産として残すことが難しいと見込まれる場合は、個人再生手続や任意整理によって解決できないかも検討することが望ましいといえます。
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